開業したインドネシア高速鉄道に懸念の声…「負の遺産」となるリスクも

開業したインドネシア高速鉄道に懸念の声…「負の遺産」となるリスクも

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運賃とアクセス性に関する大きな課題

すでにWhooshが開業しているものの、運賃の正式発表は10月中旬に予定されています。運営会社のPTKCICは、片道料金をおおよそ25万~35万インドネシアルピア(約2400~3300円)と見積もっています。一方、既存のシャトルバスでは同じ区間が8万ルピア(約800円)ほどで移動可能です。この料金差に対し、住民からは不満の声が上がっています。バンドン在住のアニンダ・デウァヤンティ氏は英BBC(10月3日)に「高すぎる」と語り、「ほかにも同じような料金で利用できる交通手段があるので、私なら普通の列車やバスを利用します」と述べています。

PTKCICは運賃設定において難しい決断を迫られています。シンガポールのISEASユソフ・イシャク研究所(旧・東南アジア研究所)のシニアフェロー、シワゲ・ダーマ・ネガラ博士は、シンガポールのチャンネル・ニュース・アジア(10月2日)で「手頃な価格設定が重要ですが、同時に、このプロジェクトのコストは非常に高額であるため、運営側は費用回収も確実にしなければなりません」と指摘しています。

ネガラ博士はさらに、人々の利用を促進するには価格面でのインセンティブが不可欠だと述べました。プロジェクト費用が膨らんだ結果、運賃が高くなれば、新設のインフラが敬遠されるリスクがあります。

価格以外にも、4つの駅の立地が課題として浮上しています。たとえば、バンドン中心部に向かう乗客はパダララン駅で「フィーダー」と呼ばれる別の列車に乗り換える必要があります。コンサルティング会社コントロール・リスクスのアハマド・スカルソノ氏はチャンネル・ニュース・アジアに対し、「4つの駅はいずれも、主な利用者層である通勤客やエグゼクティブにとってアクセスが良い商業エリアに位置していません」と述べています。こうした総合的な利便性を考慮すると、既存のシャトルバスが引き続き多くの利用者を確保する可能性が高いとスカルソノ氏は見解を示しました。